おはこんにちばんわ
長野県白馬村の小さな珈琲屋ガクです。
はじめに
コーヒー業界で注目されている新しい製法、
ダブルファーメンテーションについてお話しします。
この独自の製法は、
従来の製法とは一線を画す味わいを生み出しており、
近年多くのコーヒー愛好家から注目を集めています。
今回は、
ダブルファーメンテーションの製法や特徴、
生産地などについて詳しく解説していきます。
ダブルファーメンテーションとは

ダブルファーメンテーションとは、
コーヒー豆の加工工程において2回の発酵を行う製法のことを指します。
この製法は主に中国の雲南省で行われており、
コーヒー産業の発展に大きく貢献しています。
一次発酵と二次発酵
ダブルファーメンテーションの特徴は、
その名の通り2回の発酵工程があることです。
まず収穫したコーヒーチェリーを選別し、
一次発酵を行います。この段階では嫌気性発酵が行われ、
豆の味わいに変化が現れます。
その後、
乾燥棚に移して二次発酵を行います。
二次発酵では好気性発酵が進行し、
果肉やミューシレージの成分が種子に浸透していきます。
この二段階の発酵プロセスにより、
通常のコーヒー豆とは異なる独特の風味が生み出されるのです。
発酵具合によっては、
ブランデーやレーズン、
ベリーなどの香りや味わいが感じられるようになります。
発酵時間の調整が重要
ダブルファーメンテーションでは、
発酵時間の調整が非常に重要になります。
発酵が足りないと味わいが十分に引き出せず、
逆に発酵し過ぎると強い臭いがするコーヒーになってしまう可能性があります。
そのため、
生産者は何度も実験を重ね、
最適な発酵具合を見つけ出す必要があります。
例えば天空農園では、
収穫したチェリーを一晩放置したことから偶然美味しい発酵具合を発見し、
その後70種類もの実験を重ねて
ダブルファーメンテーションの製法を確立したそうです。
環境に配慮した生産方法
ダブルファーメンテーションで使用されるコーヒー豆は、
標高1,500~1,700mの高地で栽培されています。
この地域は雲南省の高原地帯に位置しており、
コーヒー栽培に適した環境条件を備えています。
また、
農薬不使用や有機肥料の使用など、
環境に配慮した生産方法が取り入れられています。
中国は世界有数のコーヒー生産国ですが、
ダブルファーメンテーションのコーヒーは
その中でも特に品質が高く評価されています。
ダブルファーメンテーションコーヒーの特徴

ダブルファーメンテーションの製法により生み出されるコーヒーには、
どのような特徴があるのでしょうか。
ここではその味わいや香り、
様々な表現について紹介します。
香り
- ブランデーやラム酒のような重厚な香り
- ベリー系の香り
- レーズンやドライフルーツのような香り
- 黄桃やピーチワインを思わせる芳醇な香り
ダブルファーメンテーションコーヒーの香りは、
通常のコーヒーとはかなり異なります。
発酵により生み出された豊かな香りが特徴的で、
お酒のようなぶどう系の香りや、
ドライフルーツ、
黄桃などの果実香が感じられます。
焙煎の度合いによっても香りは変わってくるため、
深煎りの場合はより
ブランデーやラム酒のような重厚な香りが強くなります。
味わい
- ベリー系の酸味
- 滑らかな口当たり
- ワイニーな味わい
- 重厚でコクのある味わい
発酵による酸味とコクのある味わいが特徴的です。
ベリーのような爽やかな酸味と、
ワインのようなぶどう由来の味わいが調和しています。
口当たりは発酵によりベトつきがなく、
なめらかな舌触りが楽しめます。
深煎りにすると、
チョコレートやナッツ、
カラメルなどの味わいとの相性も良くなります。
アイスコーヒーにするとバレルエイジド感が増し、
さらにコクのある味わいが際立ちます。
ダブルファーメンテーションの製法の進化

ダブルファーメンテーションという製法は、
最近になって注目を集めるようになりました。
しかし、
その技術の進化には長い歴史があり、
様々な生産者が工夫を重ねてきました。
グアリロバ農園の取り組み
コロンビアのグアリロバ農園では、
約3年間にわたってダブルファーメンテーションの研究を行ってきました。
同農園の製法では、
乳酸菌を使った1回目の嫌気性発酵で味わいの変化を引き出し、
発芽酵母を使った2回目の発酵で
果肉やミューシレージの成分を種子に浸透させています。
このようにダブルファーメンテーションには様々な工夫が施されており、
生産者によって異なる製法が採用されています。
グアリロバ農園のコーヒーは、
2020年に商品化に成功し、
日本にも輸出されるようになりました。
セルヒオさんの挑戦
セルヒオさんは、
他の国や生産者では見られない独自のダブルファーメンテーション製法に挑戦しています。
最初はチェリーのまま天日乾燥させますが、
途中で止めてウォッシュト処理を行うのが特徴です。
この製法によって、
クリーンで安定感のある味わいとナチュラルらしい甘さが感じられる、
セルヒオさんならではの味わいが生み出されています。
ハチミツのような甘さはありませんが、
飲みやすく個性的なコーヒーを楽しめます。
ダブルファーメンテーションの産地

ダブルファーメンテーションで作られるコーヒー豆は、
主に中国の雲南省で生産されています。
雲南省は中国有数のコーヒー生産地であり、
独自の製法が発達してきました。
天空農園のコーヒー
中国雲南省の天空農園は、
ダブルファーメンテーションコーヒーの代表的な生産地です。
ここでは、
カティモール種のコーヒー豆が使用されています。
収穫したチェリーを袋に詰めて一次発酵させた後、
乾燥棚で二次発酵を行うことで、
独特のフレーバーが生み出されています。
天空農園のコーヒーは、
プーアル茶のノウハウを取り入れた製法が特徴的です。
嫌気性発酵と好気性発酵という2つの発酵プロセスにより、
ベリーのような洋酒の香りと重厚なフレーバーが生まれます。
焙煎しても香りが飛ばず、
アイスコーヒーにするとさらにその味わいが強調されます。
その他の生産地
ダブルファーメンテーションの製法は中国だけでなく、
他の国でも取り入れられるようになってきました。
例えばコロンビアのグアリロバ農園では、
2020年に商品化に成功しています。
また、
セルヒオさんが手掛ける
ダブルファーメンテーションコーヒーも注目を集めています。
産地は不明ですが、
独自の製法により個性的な味わいが楽しめるそうです。
まとめ
ダブルファーメンテーションは、
コーヒー豆の加工工程で2回の発酵を行う独自の製法です。
この製法により、
ブランデーやベリー、
レーズンなどの香りや味わいが生み出され、
通常のコーヒーとは一線を画す個性的な風味が楽しめます。
主な生産地は中国の雲南省ですが、
他の国でも徐々に広まりつつあります。
ダブルファーメンテーションは
発酵時間の調整が非常に重要で、
生産者は何度も実験を重ねて最適な製法を編み出してきました。
環境に配慮した生産方法も特徴的です。
ダブルファーメンテーションコーヒーは、
濃厚な香りとコクのある味わいが魅力的で、
お酒のような芳醇な風味が楽しめます。
コーヒー愛好家の間でも注目が高まっており、
今後さらなる進化が期待されます。
「一期一杯」を大切に
「スペシャルティコーヒー」をご存知ですか。
スペシャルティコーヒーは、
気候・地理的条件や品種などから生まれる際立った風味特性を持ち合わせた珈琲です。
その理念は
“From seed to cup” =“一粒の種から一杯のカップまで”
の総ての段階において一貫した品質管理が徹底していることが必要とされています。
最後に私たち
HAKUBA COFFEE STANDでは、
茶道の「一期一会の精神」から
一つ一つの出会いを大切に、
二度と同じ時に戻ることはできないのだからその一杯一杯に心を尽くす、
と云う考えを基に丁寧に自家焙煎をして珈琲を長野県白馬村から提供しています。
『元コーヒー苦手』な珈琲屋ガクでした。
最後まで
ありがとうございます。