おはこんにちばんわ
長野県白馬村の小さな珈琲屋ガクです。
はじめに
ブルンジは中央アフリカの小さな内陸国ですが、
近年注目されつつある高品質なコーヒー生産国です。
この国のコーヒーは、
標高の高い火山性の肥沃な土壌と理想的な気候条件のもとで栽培されており、
複雑な風味と芳醇な味わいが特徴です。
今回はブルンジコーヒーの魅力的な側面をさまざまな角度から紐解いていきましょう。
生産地と品種
ブルンジのコーヒー生産は、
主に国の北部地域に集中しています。
中でも「カルシ県」、「カヤンザ県」、「ンゴジ県」が有名な産地となっています。
ブルボン種の特徴
ブルンジで最も一般的に栽培されているのがブルボン種です。
この品種はティピカの突然変異種で、
濃厚な香りと風味が魅力的です。
ブルボン種のコーヒーは、チョコレートのようなコク深い味わいとともに、フルーティーな酸味とジャスミンを思わせる上品な香りが特徴です。
一方で、
ブルボン種以外にもミビリジやジャクソン種なども一部で栽培されています。
ブルンジのコーヒーは品種の違いによって個性的な風味を楽しむことができます。
理想的な栽培環境
ブルンジのコーヒー生産地は標高1,200〜1,800mの高地に位置しています。
この標高と火山性の肥沃な土壌、
そして適度な雨量が、
高品質なアラビカ種コーヒーの栽培に適した環境を作り出しています。
また、
ブルンジではほとんどの農家が手作業による有機栽培を行っており、
農薬を使わずに自然な方法でコーヒーを育てています。
こうした取り組みが、
ブルンジコーヒーの素晴らしい品質の源泉となっているのです。
生産量と品質格付け
ブルンジの年間コーヒー生産量は約3万トン程度と、
世界の主要生産国と比べると決して多くはありません。
しかし、
ブルンジが重視しているのは「質」であり、
その高品質なコーヒーは世界的に高く評価されています。
ブルンジ産コーヒーの品質格付けは、
生産地、豆のサイズ、精製方法などによって行われます。
最高級のものは「COE(Cup of Excellence)」にも入賞しており、
スペシャルティコーヒーとして世界中のファンを持っています。
スクリーンサイズ | グレード |
---|---|
17/64〜15/64 | AA〜A |
14/64〜12/64 | B〜PB |
製造方法と味わい
ブルンジのコーヒーは、
製造方法の違いによっても風味が大きく変わります。
ウォッシュド製法のコーヒーは酸味が際立ち、
ナチュラル製法のものはコクと甘みが強く感じられます。
近年ではアナエロビック発酵などの特殊な製造方法にも挑戦しています。
ウォッシュド製法
ブルンジの主流である製造方法がウォッシュド製法です。
この方法では、収穫したコーヒーチェリーの外皮と果肉を取り除き、
種子(コーヒー豆)のみを残します。
その後、水に浸けた状態で発酵させ、
余分な粘液質を取り除きます。
ウォッシュド製法で作られたブルンジコーヒーは、
明確な酸味とクリアな味わいが特徴で、
フルーツやベリーのような爽やかな風味が感じられます。
ナチュラル製法
一方、
ナチュラル製法は、
収穫したコーヒーチェリーをそのまま日干しにして乾燥させる方法です。
この製法では外皮や果肉の成分がコーヒー豆に移行するため、
ブルンジコーヒーにさらなるコクと甘みをもたらします。
ナチュラル製法のブルンジコーヒーは、
ブラウンシュガーやスパイスのような深みのある味わいが楽しめ、
甘酸っぱさとジューシーな口当たりが印象的です。
特殊な製造方法
近年、
ブルンジではアナエロビック発酵などの新しい製造方法にも着手しています。
アナエロビック発酵とは、
酸素を完全に遮断した状態で発酵させる方法で、
これによってコーヒーにはフルーツやワインのような複雑な風味が生まれます。
こうした特殊な製造方法を用いたコーヒーは、
まだ生産量は少ないものの、
スペシャルティコーヒーとして高い評価を得ています。
ブルンジは伝統と革新を両立させながら、
世界に通用するコーヒー文化を育んでいるのです。
コーヒー生産の取り組み
ブルンジでは、
コーヒー生産における持続可能性と品質向上に向けた様々な取り組みが行われています。
政府機関や国際NGOはもちろん、
生産者自身がイニシアチブを発揮し、
環境保護と生活向上の両立を目指しています。
スプレモ社によるアカワ・プロジェクト
ベルギーのNGOであるスプレモ社は、
ブルンジで「アカワ・プロジェクト」と呼ばれる取り組みを行っています。
このプロジェクトでは、
生産者に対して持続可能な生産方法を指導するとともに、
人材育成にも力を入れています。
アカワ・プロジェクトのおかげで、
適切な労働環境のもとで高品質なコーヒー豆が生産されるようになり、
レッドブルボン種の特徴的な風味を生かした素晴らしいコーヒーが世に送り出されています。
ITCグルメコーヒー開発プロジェクト
国連の専門機関であるITC(国際貿易センター)は、
1997年から2000年にかけて「グルメコーヒー開発プロジェクト」をブルンジで実施しました。
このプロジェクトでは、
ブルンジのコーヒー生産者を支援し、
高品質コーヒーの生産を促進するとともに、
海外における需要の喚起を目指しました。
このプロジェクトが功を奏し、
ブルンジのコーヒーは世界的に知られるようになりました。
日本人の嗜好にも合う深みのある味わいは高く評価されています。
ウォッシングステーションの整備
- カランボWS
- ブシンデWS
- ニャギシルWS
近年、
ブルンジ国内のさまざまな地域に
ウォッシングステーション(コーヒー生産施設)が整備されてきました。
これらの施設では、
最新の設備を用いて高品質なコーヒー豆の生産が行われています。
特に、
カヤンザ県のブシンデWS、ムインガ県のニャギシルWS、
そして新設のカランボWSは、
安定して優れたコーヒーを生み出す拠点として知られています。
ウォッシングステーションの整備は、
ブルンジコーヒーの品質向上において重要な役割を果たしているのです。
ブルンジコーヒーの魅力
ブルンジのコーヒーには、
生産地の環境や品種、製造方法によってさまざまな個性があり、
贅沢な味わい体験ができます。
ブルンジらしさを感じられる複雑な風味とコクのある味わいは、
コーヒー愛好家を虜にしてしまうでしょう。
ブルンジコーヒーの特徴
- しっかりとした酸味と甘み
- フルーツやベリー、ジャスミンのような複雑な香り
- ナチュラル製法による深いコクと甘酸っぱさ
- クリアでフルーティーな余韻
これらの特徴は、
標高の高い丘陵地帯で育った高品質なブルボン種や、
適度な気候と肥沃な火山性土壌といった恵まれた環境から生まれています。
丁寧な手作業による有機栽培や、
ウォッシュド製法、ナチュラル製法などの製造方法の違いも、
個性的な風味を生み出す要因となっています。
焙煎度合いによっても、
ブルンジコーヒーの味わいは変化します。
浅煎りでは酸味が際立ち、
中煎りでは甘みとコクのバランスが絶妙になります。
さまざまな抽出方法を試すのも楽しいでしょう。
カランボWS産のブラッドオレンジ風味
実際にブルンジ産のコーヒーを飲んでみると、
その魅力が良くわかります。
例えばカランボウォッシングステーションで生産された、
ブラッドオレンジのような甘酸っぱい風味のコーヒーは格別の美味しさです。
このコーヒーは、
ナチュラル製法でつくられたブルボン種の豆から生まれています。
透過式やクレバードリッパーなどの抽出方法を使えば、
より複雑でジューシーな風味を楽しめるでしょう。
希少なブルンジのスペシャルティコーヒーを是非お試しください。
まとめ
ブルンジは小さな国ながら、
高品質なコーヒーの生産地として注目を集めています。
標高の高い地域で育つブルボン種をはじめとしたコーヒーは、
理想的な環境と生産者の努力によって、
類まれな味わいを実現しているのです。
従来のウォッシュド製法による爽やかな酸味、
ナチュラル製法のしっかりしたコクと甘み、
そして最近のアナエロビック発酵によって生まれる新しい風味など、
ブルンジコーヒーには多様な個性があります。
その魅力に惹かれ、
世界中から注目を集めているのがブルンジコーヒーの現状なのです。
焙煎や抽出の仕方によってもさまざまな表情を見せるブルンジコーヒーを、
ぜひ一度お試しください。
きっと新たな発見と驚きが待っているはずです。
「一期一杯」を大切に
「スペシャルティコーヒー」をご存知ですか。
スペシャルティコーヒーは、
気候・地理的条件や品種などから生まれる際立った風味特性を持ち合わせた珈琲です。
その理念は
“From seed to cup” =“一粒の種から一杯のカップまで”
の総ての段階において一貫した品質管理が徹底していることが必要とされています。
最後に私たち
HAKUBA COFFEE STANDでは、
茶道の「一期一会の精神」から
一つ一つの出会いを大切に、
二度と同じ時に戻ることはできないのだからその一杯一杯に心を尽くす、
と云う考えを基に丁寧に自家焙煎をして珈琲を長野県白馬村から提供しています。
『元コーヒー苦手』な珈琲屋ガクでした。
最後まで
ありがとうございます。